あるセキュリティソフトメーカーの経営者は、フィルタリングソフトは自動車の「シートベルト」のように、安全のためになくてはならないものとして、「現在70億円ほどとみられる国内市場の規模は、2─3年後には1000億円くらいのマーケットになっているだろう」と予測している。 「保護」と「規制」は紙一重 昨年12月から、18歳未満の携帯ユーザーには原則としてフィルタリングサービスへの加入が求められるようになった。この措置により、有害とは判断しにくいサイトまで遮断してしまうといった問題も起きて、よくも悪くも「フィルタリング」が話題になった。最近では、健全なサイトが閲覧できないような状況を打開するため、総務省が携帯キャリアなどへ改善要請を出した。この影響もあって、従来よりも柔軟なフィルタリング環境が整う様相だ。 PCでも徐々に「シートベルト」が現実化しつつある。「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(青少年ネット規制法)」が、6月11日に成立したのだ。 青少年に対して、いわゆる「有害情報」が流通している状況を鑑みて、インターネットを適切に活用する能力の習得に必要な対策や、フィルタリングソフトウェアの性能向上と利用の普及などによって有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置などを行うことで、安全に、安心してインターネットを利用できるようにすることが同法の目的であるという。携帯キャリアや、サーバー管理者、保護者など、さまざまな立場からの有害情報に対する責務や義務が記されている。 PCに関係する部分を見てみると、携帯やPHS端末以外でインターネットに接続する機能をもつ機器を製造する事業者は、青少年有害情報のフィルタリングソフトを組み込むことやその他の方法によって、フィルタリング利用を容易にする措置を講じたうえで、販売しなければならないとされている。 JEITAなど6団体はフィルタリングの普及啓発に積極的で、認知を高め、一層の利用拡大を図ることを目的にすでに「フィルタリング普及啓発アクションプラン2007」を策定し、PCへのバンドルを促進している。6月末まで経済産業省が主催した普及啓発キャンペーンも展開されている。 また、量販店でもサービスデスクでのプリインストールサービスや、店頭でフィルタリングソフトメーカーが共同PRを行い、市場拡大に力を入れている。フィルタリング普及に向けての大きな流れがあり、この流れが続けば1000億円市場も夢ではないだろう。 だが、「シートベルト」のような安全装置の必要性に異論を唱える向きはみられないものの、法律などの「規制するもの」に対しては必ずしも諸手をあげて賛成とは言い切れない面があるようだ。政府が主導して情報の有害・無害を定義することへの懸念や、「表現の自由」を侵害する恐れがあるとして、民間企業などから反発の声があがっている。 「保護」と「規制」の狭間で、どう兼ね合いをつけて健全なインターネット利用を促すか。フィルタリングが普及するうえでの大きな課題となりそうだ。 ブラウザさえあれば、家にいながらにして欲しいものが買え、行ったことのない国に観光で訪れることができ、友人さえつくることができる。すべては自分の「分身」を使い、仮想世界で行動が繰り広げられていく。そんな「3Dインターネット」の世界が近々大きな進展を見せそうだ。 仮想体験が実体験になる世界 仮想世界といえば、グラフィックの機能が格段に向上したゲームが最初に頭に浮かぶ。だが、セカンドライフのような3Dインターネットの世界は、実際の通貨と仮想世界の通貨が結びついているところに特色がある。それに、企業活動も行われている。こうなると、一概に「ゲーム」と定義することができない。「例えばリアルの店舗に行っても9割は自分の興味ない商品だが、3Dインターネットでは自分の趣向に合った商品をコンピュータがカスタマイズして品揃えしてくれることも可能になる」という。 3Dインターネットではセカンドライフが有名だが、それ以外にもさまざまな仮想空間が存在している。参加するユーザー数も伸び続けている。米国ではすでに大手ハードメーカーやソフトメーカーなどが、3Dインターネットに向けた取り組みを行うなど、戦略としても重要な位置づけになっている。 日本においてもいくつかの大手企業が仮想空間内にスペースを設置し、キャンペーン活動などを行っている。すでにいくつか成功事例と呼べるようなものもあり、徐々に盛り上がってきてはいるが、水面下の域を出ないブームとして、動静が伝わってきていないように思える。「まだ重要性に気づいていない企業が多いため、普及にいたっていない」と、インキュベーションなどを手がけるngi groupの小池聡社長はみている。 これまで仮想空間は、それぞれが独自の経済活動を行うような、閉じられた世界だった。それが、OSS(オープンソースソフトウェア)による3Dインターネットの標準化が進んで「閉じられた空間」から「開かれた空間」への脱皮が図られようとしている。 そのOSSの開発にはグローバル企業の技術者も参加しているが、ngiの関連会社である「3Di」の技術者がコアのメンバーとして携わっている。現在のところユーザーは、特定の仮想空間内でしか生活できないが、「開かれた空間」になれば、個別に展開する仮想空間の行き来が可能になり、それが新たな世界を作り上げることにもなる。 ngigroupと3Diは最近、NTTからおよそ16億円の出資を受けた。NTTはNGN(次世代ネットワーク)に力を入れているが、3Diは3Dインターネットの構築事業をNGN事業の柱として成長させていくのを目的としている。「NTTはグループ会社に出資をしても、外部の企業への出資はまれだ。それだけ、この事業にかける本気さがうかがえる」と前出の小池社長はコメントする。 「日本発世界」はわが国のソフトウェア企業にとって大きな懸案事項でもある。自社の技術者が中心となって標準化したOSSプラットフォームをもとに、オープン化した仮想空間が展開されれば、日本の企業がグローバルの重要な位置を担うことにもつながっていく。 ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米マイクロソフト(Nasdaq:MSFT)が大幅な人員削減を真剣に検討している。減員計画は早ければ来週にも発表される見通しで、情報技術(IT)業界で最も安定した企業の1社である同社でさえも、景気悪化を受けて厳しい決断を迫られていることを示している。 この計画に詳しい関係者らの話によると、世界最大のソフトウエア企業である同社としては珍しく、さまざまな部門にわたるレイオフを検討している。ただ、計画は依然流動的で、最終的に別の経費抑制策が見つかる可能性もあると、関係者の1人は話す。 減員規模は明らかになっていないが、関係者によると、この数週間でうわさされている1万5000人(世界の全従業員の16%超)をはるかに下回る公算が大きいという。 スティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)は先週のインタビューで、レイオフを計画しているかどうかについて回答を避けたものの、経費削減策を真剣に考えざるを得ないような経済状況となっているとコメント。「われわれは適正なバランスが取れる方法を模索しており、その方法を見つけ次第、必ず公表する」と語った。 また、大規模な人員削減を実施する可能性は小さく、「それはわれわれの社風ではない」と付け加えた。 マイクロソフトは、22日に予定している10-12月期決算の発表時に、減員計画を発表するかもしれない。昨年10月に7-9月期決算を発表した際には、景気減速を受けて採用の縮小や、出張費などのコスト削減に乗り出す考えを示していた。 SIer 大手の SRA は2009年1月14日、フィンランド Nokia の Qt Software 事業部門が GUI ツールキット「Qt」の LGPL(Lesser General Public License)をリリースしたのに伴い、「Qt」における開発・販売・教育・サポート体制を強化、拡充する、と発表した。 Qt は、Google、シャープ、米国 IBM、Motorola など全世界60か国5,500社以上、25万人以上のユーザーを誇るマルチプラットフォーム C++アプリケーションフレームワーク。組込製品に搭載しても、仮想マシンを必要とせずに、アプリケーション動作を高速化できる。 Qt はノルウェーの Trolltech が開発したが、その後、Trolltech は Nokia に買収された。 SRA は2003年以来、Qtの日本国内代理店。2004年11月に Trolltech との VAR(Value Added Resaler)契約を更新した際、 Qt デスクトップ版に加えて組込み Linux 向け「Qt Embedded」の取扱いも開始している。 LGPL 版リリースでユーザー数が急激に拡大、それに伴って、サポートニーズも高まる、と SRA は考えている。 Qt は、現行 4.4.3 バージョンまでは、有償ライセンス(CommercialLisence)と、無償の GPL(GNU General Public License)の2ライセンス形態をとっていたが、無償で利用できる GPL で利用した場合、開発したソフトウェアを配布するにはソースコードを公開しなければならず、商用利用には不向きだった。 4.5 バージョンから LGPL が追加されることで、Qt 自体に改変を加えない場合、独自開発部分のソースコードを公開する必要がなくなり、商用開発でも利用しやすくなった。